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2024-04 欧州① ANA「THE Room」 ビジネスクラス搭乗記(NH211)

GWにかけて英独周遊8泊10日の欧州旅行、最初の滞在地ロンドンまでANAの直行便(NH211)で向かいます。往路は「THE Room」のビジネスクラスに初搭乗、快適なシートで約14時間のフライトを楽しんできました。ANAの羽田-ロンドン路線にはファーストクラス・ビジネスクラスに新型シート「THE Room」を採用したB777-300ER機(B77W)が常にアサインされています。

ANA B77W 「THE Room」のビジネスクラス座席前面(1-2-1の中央席)
今回のTips
  • THE Room」ビジネスクラスのシートは世界最高レベル
  • 2022年2月以降、日本発欧州着は北回りの航路を採用
  • ANA国際線ビジネスクラス機内食のレベルは年々低下?

「THE Room」で快適な空の旅を実現

機内持ち込み手荷物を余裕で座席横における広さ

とにかく幅が広い、「THE Room」のビジネスクラスシートはこの一言に尽きました。これまで多くのエアラインのビジネスクラスに搭乗しており、シートの横幅ではシンガポール航空のA380が最広だと認識していましたが(縦の長さではトルコ航空のB77Wが最長と認識)、THE Roomはそれを上回る広さ、世界中のエアラインのビジネスクラスで最も広い横幅持つビジネスクラスシートと思われます。

例えるなら大人と小学生低学年くらいまでの子供が並んで座って問題ないレベル、実際に搭乗中はPCが入る通常のリュックを座席に置いたまま快適に過ごしていました。尚、この程度の手荷物であれば離陸・着陸時は腰用とは別の肩用シートベルトをかませることで座席に置いたままでOKでした。ヘッドレストカバーの横幅で通常のビジネスクラスシートの座席幅、はみ出ている両脇部分が+幅の感覚です。

ANA B77W 「THE Room」のビジネスクラス座席

個室仕様で快適さとプライバシーを確保

特徴的なのは「扉」と「座席配置」。それぞれの座席に2つの「扉」(横開きで閉める出入口用の扉と、上下昇降で閉める目隠し用の扉)が付いており、ビジネスクラスでも個室仕様になるファーストクラス風のシートとなっています。また、中央の並び2席には仕切り扉も付いています。いずれも電動で開閉可能、これにより度のシートに座っても完全なプライバシーが保たれています。

完全な1-2-1配列は前後の互い違い

従来のANA国際線ビジネスクラス(B77W/B789/B788)のスタッガード配列と異なり、「THE Room」は完全な1-2-1配列となっていますが注目すべきは座席の向き、写真の通り奇数シートは進行方向と逆向き、偶数シートは進行方向の互い違いに配置されています(写真のモニターに着目!)。従来のスタッガード配列では座席横のサイドテーブルに後方座席の足を入れ込む形でフルフラットを実現していましたが、こちらは向き合った前方のサイドテーブルにお互いに足を入れ込む形でフルフラットを実現しています。

前後で向きが互い違いとなる完全な1-2-1配列
24型のモニターは迫力あり

機体の半分以上を占めるビジネスクラスエリア

ちなみに、「THE Room」機体のクラス別座席占有率とエコノミーを基準とした座席あたりの広さをシートマップをもとに試算してみました。座席数では3割強しかないファーストクラスとビジネスクラスで座席エリアの6割以上を占めるといる結果に(ギャレーやトイレなど入れれば約7割)。実際に主翼後方までビジネスクラスのエリアとなっています。1席当たりの広さはビジネスクラスで3.43倍、ファーストクラスで5.17倍(いずれもエコノミー比)と感覚値と違和感はありません(ビジネスクラスは入れ子構造の足を入れる部分が含まれていないので実際には4倍弱になるのではと思われます)。

「THE Room」は現在は主にニューヨーク路線とロンドン路線に投入されており(登場初期はフランクフルト路線にも投入)まさにビジネス仕様の機体、今後の全路線での投入を期待します。

「THE Room」クラス別座席占有率・座席あたりの広さ

「THE Room」ビジネスクラスシートの詳細は下記を参照ください。

www.ana.co.jp

往路は北回り航路、残念ながら条件的にオーロラとは無縁

今回、羽田からロンドンへ向かう航路は北極回りでした。通常、日本から欧州へ向かう際の航路はロシア上空を飛ぶ航路を用いていましたが、2022年2月以降はロシア上空を迂回する為、欧州へは全てのエアラインでこの北回りルートを採用しており2時間程度飛行時間が伸びています

ちょうど一年前のポルトガル・スペイン旅行の際に搭乗したフランクフルト路線(NH223)も同じ航路でしたのでその際に気になって調べてみましたが、アラスカ上空を通りますがオーロラは見えない模様。飛行機からオーロラを見るためには、「季節(冬の方が良い)」と「時間(暗がりでないとダメ)」の両方が前提条件として必要なようです(前提条件が合っていても運次第)。

今回搭乗したNH211 羽田→ロンドンの航路(2024年4月)

ちなみに、欧州から日本へ向かう際は偏西風の影響を活用する為、従来通りの南回りルートになります。

参考:NH212 ロンドン→羽田の航路(2024年4月)

ANA国際線ビジネスクラスの機内食は今後の品質改善に期待

シートは重要、機内食は同等以上に重要

ANAビジネスクラスの機内食を紹介します、と言いたいところですが少し残念なご紹介を。1年半前のシンガポール路線から薄々感じており、1年前のポルトガル・スペイン旅行時に意識、半年前のハワイ旅行時に確信していたことですが&あくまでも私自身の個人的主観ですがANA国際線ビジネスクラスの機内食およびワインの品質は、コロナ期を境に品質が年々落ちています。「THE Room」の充実ぶりとは裏腹に正直言って美味しくない、そして盛り付けも微妙。別でオーダーできる牛丼やラーメンの方が無難というレベルで少し心配しております(誤解の無いように申し上げると、以前は「これが機内食?」と思えるほど美味しかったです)。

コスト管理の観点もあるのでしょうがサービスを売りにするにしては残念なところです。特に、ワインは明らかに品質というか単価が落ちています(以前は平均4,000円程度の市価のものが提供されていたはずですが、現在は平均2,000円~3,000円程度の市価のものが提供されているようです)。このあたり、他国のフラッグシップキャリアは力を入れていますので、長年のANAファンとしては期待も込めて日本のフラッグシップキャリアの一角としての矜持は保っていただきたいと感じています。

ちなみに、個人的にビジネスクラス以上で機内食が素晴らしいと思うエアラインは、多彩な選択肢からメニューを選べるブック・ザ・クックで有名なシンガポール航空、ケータリング会社にDo & Co社を起用しているトルコ航空オーストリア航空です。後者は前菜やスープをワゴンサービスする徹底ぶりであり、別の記事で紹介させていただきます。

NH211機内食 アミューズ&前菜

NH211機内食 メインの洋食肉料理

NH211機内食 メインの洋食魚料理

参考までに、コロナ期直前(2018年~2019年)のANAビジネスクラス国際線長距離路線の機内食をご紹介。明らかに器と盛り付けが違いますね。

参考:コロナ期直前のANA国際線ビジネスクラスの機内食(アミューズ)
参考:コロナ期直前のANA国際線ビジネスクラスの機内食(前菜)
参考:コロナ期直前のANA国際線ビジネスクラスの機内食(洋食肉料理)

羽田空港第2ターミナル国際線エリアは真新しく新鮮!

今回登場したNH211は羽田空港第2ターミナルからの出発でした。第2ターミナル国際線エリアはコロナ期直前にオープンし、コロナ期に突入後長らく閉鎖されていましたが2023年より運用を再開しています。まだ真新しいターミナルはコンパクトにまとまっており新鮮でした(ANAとスターアライアンス便の一部の発着)。

広々としたANAラウンジもオープンしており、羽田の第3ターミナルや成田では見ないオープンキッチンとメニューを見ることが出来ました。写真はオープンキッチンで焼き上げられていた骨付きソーセージ(機内食よりも格段に美味しかったです)。

羽田空港第2ターミナルの国際線エリア
羽田空港第2ターミナル国際線エリアのANAラウンジ

羽田空港第2ターミナル国際線エリアのANAラウンジ(奥左手にも広大なエリア有)

この日のフライトは予定の14時間よりも早まり13時間強でロンドン ヒースロー空港に到着。地下鉄ピカデリーラインで宿泊するホテルに向かいます。